ALCを振らさない鍵
一連の記事でIC-7800の送信周波数特性を調べていますが、僕はオーディオマニアではありません。実はIC-7800のALCを振らさずにパワーを絞り出すポイントを調べているのです。
マイクにイコライザーを入れている方は、低音を強調した設定にするとALCが振れないでパワーが出る・・・という経験をされていると思います。
また、もう一方でALCがパカパカ振れるレベルだと、歪んだ音になってしまうという経験も同じようにされているハズです。
道は二つ。一つはALCを振らせて「飛び」を優先する。もう一つはALCを振らさないで「音質」を優先する。どうしても両立したい場合は・・・・リニアを入れちゃうテもあります。
でも、リニアを使わない条件で「飛び」と「音」をバランスさせる設定を探しています。
ALCが振れない範囲で最大のパワーを出す = 無線機を使いこなす って思うのです。こういう時は経験則が非常に大切。
低音をブーストするとALCが振れずにパワーがでる・・・じゃぁ、どの辺りの周波数なのか?をポイントに調べました。1khzのシングルトーン信号でALCが振れないレベルに設定してから、スィープさせみました。
IC-7800の送信周波数特性と比較して、160hz以下のレベルが大きく下がります。また「CardDeluxeの周波数特性」でも分かるように音声周波数帯域に於ける7800への入力レベルは一定です。
すると今回のグラフから分かることは、1khzでALCが振れないレベルで設定すると、160hz以下ではALCが振れるまで十分なマージンがあることになります。逆にいえばもっと入力レベルを上げてもALCは振れない・・・ということです。
二つのグラフを頭の中で重ねていただき、差の部分を見てみると楔形のエリアが浮かび上がってきます。このエリアがALCを振らさないでパワーを出すコツです。
僕は勝手に「ゴールデントライアングル」(笑)と名付けました。このゴールデントライアングルは送信周波数の下限である40hz付近から始まり300hz辺りまで続きます。
下の表を見てください。これは1000hzのシングルトーンでALCが振れないギリギリのところに入力レベルを設定した場合の実際の送信出力(7800パワー計読み)です。
200hz辺りから急激に出力が下がります。ところが、その出力が下がる周波数で個別に入力レベルをALCが振れる直前まで設定すると100Hz辺りでは相当入力レベルをあげることができます。まさにこの「差」が鍵なんです。
50Hz付近は別として現実的には80hz~200hzがとても大切で、マイクを接続してALCが振れないように入力レベルを設定した後、この周波数帯域「だけ」表にあるような幅で増幅してあげるわけです。
するとALCは振れないまま、実際には低域が大幅に強化されることになります。もちろん、音のバランスが崩れてしまうほど上げるのは意味がありませんのでモニターしながら調整する必要があります。
自分の設定の裏付けが取れたので大変嬉しいです。ゴールデントライアングルはアマチュア無線家が誰しも持っている「飛ばしたい」願望と「綺麗な音」をバランスさせる甘い蜜のようなものです。
これ、イケます。超オススメです!!
注意:
この図と表はIC-7800のもので、他の無線機では当然ながら条件が違ってきます。あなたの無線機にはゴールデントライアングルは存在しないかも知れません。設定だけ真似てもダメですよ。
Freq(Hz) | Power(W) | Power(W) | 出力 差 (W) |
db 換算 |
ALC 調整 |
1000Hz | 周波数 毎 |
||
50 | 3 | 190 | 187 | 18.0 |
63 | 10 | 190 | 180 | 12.6 |
80 | 30 | 190 | 160 | 8.0 |
100 | 70 | 190 | 120 | 4.3 |
125 | 120 | 190 | 70 | 2.0 |
160 | 140 | 190 | 50 | 1.3 |
200 | 160 | 190 | 30 | 1.2 |
250 | 180 | 190 | 10 | 0.2 |
315 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
400 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
500 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
630 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
800 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
1000 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
1250 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
1600 | 190 | 190 | 0 | 0.0 |
◆追記◆
興奮していて気づきませんでしたが、ALCが振れる手前に設定して190Wも出るって・・・凄いことですね。定格出力の95%。IC-756Pro&Pro2では確か80W、定格出力の80%だったと記憶しています。余裕のファイナルとはこのことかな?隠れた所も手抜きナシって感じでしょうかね。
今日はIC-7800に初めて触った時みたいに興奮しています。 IC-7800大好き♡
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