スッキリした低音って・・・
ようやっとイコライザーを抜いても以前に近い変調になるようになってきました。再現率90%って感じ。
今回の試行錯誤で分かったことが一つ。
スッキリした低音を出すのであれば「低音を出してローカット」すること。
もちろん、マイクや機材などの条件で異なってくるとは思いますけど、スッキリした低音を出すためには、やはり低音を出して、スッキリさせるように機材を調整するんですね。
でも、この説明ではサッパリわからないと思いますので、具体的に説明します。
無線で聞こえる低音は大体60hz~200hz辺りのことだと思っています。一般的に60hz以下は受信できてもスピーカーとかヘッドホンの特性で「聞こえない」ことが多いと思います。
また60hz以下の低音は音声フォルマントが「存在しない」ケースが殆どで、60hz辺りに第一フォルマント(音声の一番下の周波数)がある方はごく一部の方だけです。
ちなみに僕の場合はどんなに無理しても70hz辺りが精一杯。それ以上低い声はでません。
つまり60hz以下は不要な周波数帯域となります。まぁ、不要な周波数はどうせ聞こえない周波数だし、声も存在しない周波数だから「どうでもよい」と考えがち。
でも、マイクロホンは60hz以下の音も拾っているわけですし、マイクアンプもその周波数を増幅しています。
細かくは説明しませんけど、不要な周波数の信号が存在することで、その近隣の周波数帯域に色々と影響がある場合があります。まぁ、混変調のような感じなのでしょうかね?
そのような影響を防ぐ意味もあって、ローカット機能があって70hz辺り以下の周波数をカットするようになっているマイクプリアンプもあります。
IC-7800は60hz辺りまで送信できますが、100hz以下はどうしてもフィルターの特性で減衰しますので、その分増幅してあげないと「極」低音がでているようには聞こえません。
低音を豊かにするために低音部分をイコライザーなどで増幅すると、どうしても60hz以下の周波数帯も増幅されてしまいます。
すると、どうしてもモワッとして、低音は出ているけどスッキリしない・・・ってことになります。
スッキリしないのは、どうやら余分な部分を増幅していることが原因のようですから、60~100hzを増幅しつつ、0~60hzを減衰させると結果的にスッキリした低音(というかローエンドですね)になります。
ところが、この60hz以下を減衰させて、60-100hzを増幅する・・・ってのが難しいのですよ。
グライコで60hz辺りを+6dbブーストして50hz以下を-10db以上減衰させるように「設定」するのは簡単ですが、本当に「設定」通りに「動作」するかは??です。
僅か10hzで+6dbから-10db程度まで都合16db以上減衰する特性が50hzの周波数で必要なんですからね。
要するに50hz以下を無音状態に近づけて、60hz~100hz辺りが増幅されれば、どんな方法でも良いわけです。
今回の記事はあくまで僕の声とマイクと機材の組み合わせの場合での話。マイクや声や処理方法や無線機によって設定する周波数や減衰量、増幅量は異なってくると思いますので一般的ではないかもしれません。
まぁ、スッキリした低音を出すための手法の一つ・・・として受け止めていただければ幸いです。
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コメント
お、中々核心を衝く記事ですね。
これ、WでHiFi SSBをやっている人間の中では『サイドの拡がり』抑えるために使われている手法ですが、低域の切れの良さを出すにも有効と思います。(下記JA1BBPをクリックすると特性のイメージが出ます)
現実問題としてリグのオーディオフィルタの特性(特に200Hz以下)がだらしないので、やはり外でスパッと処理してやると有効でしょうね。
『切れのある低音』、『深みのある高音(高音で音に深みを出すという意味)』 相反する要素に思われがちですが、チャレンジする価値がありますね。
投稿: JA1BBP 早坂 | 2006年4月 8日 (土曜日) 09時32分
こんにちは。毎週楽しみに拝見しています。今回のテーマはなるほどと思い、メールしました。I社はたしか100Hz~2900Hzの送信帯域だったかと思いますが、実際の変調f特はどうなっているのでしょう。T社やV社は3KHzめいっぱいの設定ができる?ので、各RIGの低高域部の傾きが気になるところです。まあ測定器がないのではっきりわかりませんが。続編を期待します。
投稿: JG2IYR | 2006年4月 8日 (土曜日) 10時35分
早坂さん
最初はそのカーブが何を意味するのか?聴いても理解できませんでしたが、耳を鍛えると、その意味が聴こえてくるように思います・・・です。
もっとも、耳の方はまだまだ修行中ですが。
投稿: JI1ANI 福井 | 2006年4月 8日 (土曜日) 11時29分
JG2IYRさん
正確な測定ではありませんけど、結構いい感じでしたよ。
http://psk31.cocolog-nifty.com/digitalmode/2005/05/ic7800_8dbf.html
グラフが右肩下がりなのは7800の特性ではなく、測定したサウンドカードの特性です。
イコライザーなどで補正すればかなりワイド化できます。そこまでしなくても2.8khz程度の幅があれば十分良い音質で楽しめます。
DSPの場合はフィルターの肩のナマリがありませんので3khzのフィルタータイプの無線機と実質的な周波数帯域は同程度と思います。
7800の特徴は透明感の高い変調です。したがってマイクやマイクプリアンプの音を色付けしないで送信してくれます。
今年の2月以降の3khzルーフィングフィルター内蔵版は、その透明度の高い変調に、さらに磨きがかかっています。
マイクや外付け装置に投資したくなる危険な無線機です(笑)。
投稿: JI1ANI 福井 | 2006年4月 8日 (土曜日) 12時15分