裸足の彼女
今日は皆既月食ということで楽しみにしていましたが、どうも雲行きが怪しい。天気予報をみていませんでしたが、自宅の最寄り駅で電車を降りると空がピカピカしています。
「ありゃ、雷かぁ・・・」なんて、今は余裕です。だって、ベランダのアンテナに雷落ちることはマズありませんから。
屋根の上にアンテナあげている頃は、夕方に自宅が雷雨だった日に帰宅する時なんか、帰り道で曲がるとアンテナが見える角の手前で「頼む!無事であってくれっ!」って毎回祈るような気持ちで角を曲がって、アンテナを目視点検していました(笑)。
なぁ~んて、思い出しながら駅の出口をでて10mも歩かないうちに「ビシッ」と脳天に一撃。僕の帰宅にタイミングを合せたかのように大粒の雨が降ってきました。
昔は雨粒が頭に当たっても髪の毛で衝撃が和らいだのですが、最近は情け容赦なく雨が頭の地肌にペシッって当たります。
急いで帰宅したものの結構濡れてしまいましたので、濡れついでに駅から直行しようと思っていたクリーニング屋さんにシャツを取りに行くことにしました。
この雨では傘さしても濡れちゃうけど、もう結構濡れちゃって「まぁ、いいや」って感じもありました。実はクリーニング屋さんのお盆休みで、すっかりローテーションが狂ってしまい、明日、会社に着ていくシャツが無いのです(笑)。
これはマズイ。
雨が止むのを待っているとお店が閉まってしまうかもしれません。
激しい雷雨の中、クリーニング屋さんに向かっていくと、土砂降りの中を走っている人、諦めたのか歩いている人、お店の軒先で雨宿りしている人が結構います。
実は、僕は雨に濡れるのはあまり嫌いではありません。もちろん、靴がジュクジュクしたり、下着まで・・・というのは嫌ですが、ちょっと濡れる程度は全然平気。
目安としては「髪から雨が滴る手前(わかります?)」なら気にしません。ですから、傘を持っていても使わないことが結構あります。
でもね、このどしゃ降りなら傘使いますよ。叩きつけるような凄い雨ですからねぇ・・・。雨宿りしている方に同情しつつ、5分遅かったら僕も同じだったなぁ・・・って思って歩きながらフト反対側に目を向けました。
女性が土砂降りの中、傘もささずにトボトボと歩いています。走るわけでもなく、開き直って前を向くでもなく、トボトボトボ・・・・。
?
気になります。
女性を見ると、叩きつける雨の中、白いビニール袋に入った荷物を大事そうに抱えています。彼女の姿勢が前屈みな理由は判った。
でも、なんでトボトボ歩きなの?と思って足元を見ると・・・。
「ありゃ!」
彼女、裸足なんです。裸足で雨の中を歩いているんです。
「?? ・・・・ ! もしや・・・」
彼女が大切に抱えているものが何か見当がつきました。もちろん、僕の勘違いかもしれませんけど。
トボトボトボ・・・裸足の彼女が歩いています。
ちょっと勇気を出して、彼女に傘をかざし「この先のクリーニング屋さんに行く途中ですが、そこまで傘に入っていきませんか?」と声をかけました。
彼女は顔をあげて、ちょっと驚いた顔をしてから嬉しそうな顔で「ありがとうございます」と言って傘に入って来ました。
「突然の雨ですねぇ~」「そうだね、参ったよね」なんて挨拶代わりの会話をしながら歩いていました。
クリーニング屋さんの近くで「もしかして、その大切な荷物は靴かな?」って尋ねると、少し恥ずかしそうに笑ってから「そうなんです。*****(ブランド)・・・。」と彼女の大切な荷物の中身を教えてくれました。
う~む。それは濡らしたくない。
というより、濡らしたらアウトです。この靴をアウトにするくらいなら、今日の服が濡れて、裸足で歩いても良い・・・・・。
判ります。その気持ち。
「僕も昔、大切なカシミアのコートを突然の雨で濡らしたくなくて、ずぶ濡れになりながら脱いだコートを濡らさないように抱えて帰ったことがあるんだ」と話すと、彼女は嬉しそうに「そうですよねぇ」って・・・・。
彼女は技術本位のクリーニング屋さんの前まで来ると、丁寧なお礼の言葉を述べてから雨のなかを歩いて行きました。
裸足の彼女は前よりも少し、顔をあげて歩いているように見えました。
冷静に考えると、僕の場合は雨宿りするなり、コンビニで傘を買うなり、他に色々と方法はあったはずです。でも、突然の雨って、なんか普通ではないことをしてしまうようです。
きっと彼女も帰宅して落ち着くと「なんでずぶ濡れになって裸足で駅から歩いたんだろう?」って思うに違いありません。
足、大丈夫だったかな?
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コメント
いつも拝見してます。
今回は「文学ですねえ~」
情景が目に浮かびます。
投稿: ja2kcy/松 | 2007年8月31日 (金曜日) 00時37分
松さん
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
実は商店街の道の出来事で、傘さして歩いていると状況的に非常に気まずい、つまり、雨宿りしている他の方から「いいよなぁ~傘あってさぁ~」みたいな感じの視線を感じつつ、彼女についても「あのさぁ、傘持っているんだからさぁ、男なら傘貸すだろう?普通・・・」みたいな視線も感じておりました。
もちろん、自分でも彼女にはそのように感じましたが、なんか居心地が悪かったですよ。
投稿: JI1ANI 福井 | 2007年8月31日 (金曜日) 01時41分
こんにちは、いつも読ませてもらっています。今回のお話の彼女の気持ちよくわかります。私も靴のこだわっており、皮底靴がメインなのですが、これには雨が大敵、ですから常に天気予報には気を配っており、少しでも雨の気配があれば、迷わず雨用の靴で出かけます。
幸いこれまで被害?には遭っていませんが、もし良い靴を履いて豪雨にあった場合、素足になるか、駅からタクシーで帰宅するつもりです。
投稿: JE1KKT 福助 | 2007年8月31日 (金曜日) 12時15分
大雨の中、意を決して傘をささずに歩き始めた女子高生、僕は傘を渡して雨に打たれながら走り去ったことがあります。w
投稿: JO1KVS | 2007年8月31日 (金曜日) 21時14分
福助さん
こんばんわ。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
革底靴、私はやっちゃいました。オニューで下ろしたその日に土砂降りの雨。15分その雨の中を歩いてパ~ですわ。
それ以来、革底靴は買っていません。
投稿: JI1ANI 福井 | 2007年8月31日 (金曜日) 23時55分
KVSさん
いゃぁKVSさん、男ですねぇ・・。カッコイイ。
投稿: JI1ANI 福井 | 2007年8月31日 (金曜日) 23時59分
我が家はアンテナを伸ばすと雷が近くに来ただけでリグと電源の間で放電する(コモンモード的電位差でしょう)ので,雷は怖いです.伸ばさなくても放電した場合もあるので(あれは受信アンテナそのものの問題だと思うけど),怪しいときはまずはアンテナを抜いています.
本題の靴の話ですが,そんな高級な靴は持ったことないので,経験がありません.でも,気持ちはわかるような気がします.
投稿: Kenji JJ1BDX | 2007年9月 2日 (日曜日) 10時35分
BDXさん
こんにちは。ベランダアンテナでも注意が必要なんですね。全然平気だと思っていましたが、確かにご指摘いただいたことは注意が必要ですね。
でも、直撃の心配が無いのは嬉しいです。
無線の場合、雷が落ちるほどアンテナ高くあげていなくても、やはり雷は怖いですね。
おへそ、どうして取っていくのか、結局わかりません。
投稿: JI1ANI 福井 | 2007年9月 2日 (日曜日) 12時16分