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2009年1月10日 (土曜日)

4:1小型バランの製作 その2

実験で予想外の良い結果になったものの50Mhzで実用とするためには広帯域にする必要があります。
もうちょっとマジメに電線を巻いてみることにしました。細いビニール線2本を束ねてドリルでツイスト線に加工してコアに巻いてみました。
41_balun_test1
前回の実験ではコードの長さが足りずに巻数が増やせませんでしたので、今回は9回巻にして上限周波数を伸ばすつもり。
この状態で1.8MhzでSWR1.0(変わらず)50MhzでSWR1.5と一応使えそうなバランになりましたが、巻数が多いとロスが心配です。9回巻だとなんとな~~くロスが多い気がします。
「やったぁー」ってなるハズだったんですけどねぇ・・・・。

数回巻いてテストしただけですが、もっと広帯域なバランが作れそうな感触がありますし、本当にこの小さいコアで大丈夫なのか?など確認しなければならないことがいくつかあります。
そこでバラン製作のコツを求めてネットで先達の方々のお知恵を拝借しようとしたのですが、肝心な部分は公開されていません。

一番参考になったのはFCZの寺子屋キットスーパーアンテナバランの製作でした。
電線をコアに巻く時点でインダクタンスが増えるのは理解できますが、ツイスト線を使うのはキャパシタンスの確保という説明を読んで目から鱗。
この説明なら単線だと巻数が増えて、ツイスト線だと巻数が減る事象が理解できます。これバラン製作のキモとなる部分です。さすがFCZ研究所


コアのサイズ(耐電力)
コアに関してはやはり「トロイダル・コア活用百科」が一番参考になりました。コアの耐電力について同調させるのなら1.8Mhzから50MhzでFT-50-43(20W)、FT-80-43(50W)、FT-114-43(100W)、FT-140-43(200W)と書かれています。
耐電力はコアの大きさで決まるようで、耐電力20WとされているFT-50フェライトコアのサイズは外径12.7mm内径7.15mm厚さ4.9mmです。
もっともバラン用途なら上記の10倍程度まで大丈夫のようですからQRPなら小さいコアでもかなり余裕があるはずです。(テレビの受信用では小さすぎ・・・ですが)

今回利用するZCAT1518の内部のコア自体のサイズは外径11mm内径7mm厚さ3.7mmということろです。ドーナツ型のFT-50に対してZCAT1518は短めのチクワ型ですから、コアの容量はFT-50よりもかなり大きくZ-817の耐電力20Wはクリアできそうです。


電線をコアに密着させる
コアと電線は密着状態が良いのですが、コア材のフェライトは導電性ですから、薄い被覆線が最良となります。エナメル線が良いようです。
コアのエッジは結構鋭いので密着させるように押しつけて巻くとエナメル線の被覆が剥がれてコアと導通してしまうことがあるので、コア自体を薄い絶縁材で養生すると良い。
電線をコアに密着させるために結束バンドで腹巻のように留めたり、ヒシチューブで固定すると良い。コアと電線を全体的にいかに密着させるかがポイント。

ZCAT1518はパッチン用のプラスチックがコアの外周を覆っています。この厚みが1mm程度あります。したがって頑張って電線をコアに密着させようとしてもプラスチックの厚み分コアから離れてしまいます。やはり剥身のコアが良いようです。


コアに巻く電線
電線は1mmで100W程度というのが一応の目安のようです。20W程度なら余裕を見て0.4mmもあれば充分かな?
5Wなら0.2mmでも充分と言えそうです。ただ、コアの重量がありますので、細いと物理的な振動による断線など強度の点で問題が発生しそうです。

高耐圧のバランではテフロン線などを使うようですが、テフロン線は堅いので巻くときに、コアの角で直角に曲げることができず、コアから電線が浮いてしまいます。
またトライファイラやバイファイラの場合、単線だとキャパシタンスが確保しにくく、バランの巻数が増えたり、広帯域にならないことが予想されます。ツイスト線を上手に使ってキャパシティブに巻くのが良いようです。


同軸側の配線は極力短くする

バランを作ると同軸側(不平衡出力・50Ω)の出力とアンテナ側の出力ができますが、同軸側はコアから出た直後で同軸と接続するようにコネクターとのコアの位置を工夫する。
特に高い周波数でこの影響が顕著。

本来はアンテナ側も同様だが、アンテナ側の配線はコアまでアンテナの一部と見なされるため、バランとしての特性には表れにくい。当然だがアンテナ側の配線は左右均等が大切。


以上4点が僕が調べたバラン製作のポイントのようです。
バランの回路はどこに載っているヤツでも一緒です。コアについてもアミドンのFTシリーズである必要はありません。

バランの製作というとコア選び・・・・ってイメージがありますが、バランの性能に一番重要なのは「どういう形状の電線を」「どういう形態で巻くのか」のようです。
この先達のノウハウを取り込んでバランを再度製作することにしました。

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コメント

バランマニアになってしまいましたね~。
すぐ実験されるところ、アマチュア無線家らしくて素晴らしいです。
寺小屋シリーズのバラン、いくつか作ったことがあります。
配線処理もいい加減な仕上げですが・・・(^^ゞ
1:4はビニール線でより線を作って自作したことがあります。2本縒りで済むので1:1より簡単ですね。
1:2に近いバラン(4:9とか)が欲しかったのですが、これは平衡:不平衡とインピーダンス変換を1つのコアでやろうとするとちょっと複雑で考えるのが面倒だったので大進無線さんのキットを買っちゃいました。キットでは2つのコアで実現していました。

投稿: JO1KVS | 2009年1月10日 (土曜日) 08時13分

KVSさん
おはようございます。
Z-817をいろいろと使おうとしてバランになっちゃいましたね。キットを作ろうかと思ったのですが、手持ちのコアでも作れるのが判ったのが大きいかな?
それに強制バランは作ったことがなかったのです。やってみるとだんだん上手(特性が良くなる)になるので面白いです。
パズルみたいなものでしょうか・・・。

投稿: JI1ANI 福井 | 2009年1月10日 (土曜日) 09時37分

 目に見えないところで何かが起きている感じが面白いですね。
 給電部近くの同軸にコアをたくさん付けるだけでも強制バランになりますね。ミニマルチアンテナさんの大好きな?方法ですね。

投稿: JO1KVS | 2009年1月10日 (土曜日) 10時07分

給電部の同軸にコアを付ける(だけ)強制バランは僕のデフォルトスタイルですね。
これ簡単ですが1:1じゃないと(付けるだけ)じゃ無理ですからねぇ・・・。

投稿: JI1ANI 福井 | 2009年1月10日 (土曜日) 10時20分

あー!まちがえています。
同軸にコアだけつけるのはフロートバランですね。強制バランはマキマキしないとできないのでチト大変です。

投稿: JI1ANI 福井 | 2009年1月10日 (土曜日) 21時10分

強制とフロート、よく勘違いします。
コモンモードを強制的に抑えるから強制、かと思いきやですね。

投稿: JO1KVS | 2009年1月11日 (日曜日) 07時46分

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