« YO9HP 10/RTTY | トップページ | IC-7800の周波数校正? »

2009年2月20日 (金曜日)

AD変換基盤PCM1804のクロック安定化(効果と分析)

TCXOのエージングのためか、初日に比べて音に艶がでているように感じます。初日はエッジが立った高精細って感じだったのですが、昨日辺りから滑らかさがでているように感じます。
理由は良くわかりませんけど・・・・。

今回はマスタークロックの周波数精度に注目して一気にTCXOに交換しちゃいましたが、冷静に考えてみるとなんかヘン。
だって再生する場合、44.1Khzが1Khzズレて45.1Khzになっても音の再生スピードが変化するだけで、再生中に音程が変化するわけではありません。きっとA/Bテストしても気づかないと思います。

もう一度PLL1707の仕様書を良くみると・・・

Master clock frequency 26.73~27~27.27 MHz

と記載されていました。つまり入力周波数が26.73~27.27Mhzの間ならば正しい出力を出します・・・と保証されています
ですから発振周波数が27Mhzから1Khzズレたところで問題ナシ。250Khzズレた水晶でも出力クロックには影響がないように設計されていました。

でも今回TCXOに変えて音質は向上しました。なぜ??
TCXOに変えて変化したのは発振周波数とジッタです。するとジッタが減ったことが音質に影響を与えていることになります。いろいろと調べてみるとオーディオ関係の先達もそのように分析されています。

ジッタは色々な種類がありますが、日本水晶デバイス工業会の水晶発振器とSAW発振器の位相ジッタ測定法ガイドを見ると網羅的に正しく理解できます。
各メーカーはこのガイドに従って自社の製品の仕様書に数値を記載するのですから一番信頼できる説明でしょう。

代表的なジッタをシリアル伝送で問題になる時間軸でプロットすると
Jitter
とまぁ、3種類が代表的なジッタです。
aのピリオドジッタは今回使ったTCXOにも記載されていて3ps msとなっています。

ちょっと乱暴ですが、このジッタを時間軸ではなく周波数軸にプロットし直すと位相雑音 C/Nです。
アマチュア無線機の局発の解説にもでてきますよね?
Jittar_cn_rbw
写真はC/N測定の例です

写真はPLL周波数シンセサイザの位相雑音の例ですが、今回のTCXOと比較するとやはり位相雑音が多いようです。
つまりTCXOにした効果は位相雑音が減ったこと・・・のようです。

オーディオ用の発振器として世界的に有名なLcAudioのXO-3(33.868887Mhz)測定結果を読み取ると、多少の誤差はありますが
SSB Phase Noise at 10Hz offset - -90 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 100Hz offset - -118 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 1KHz offset - -128 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 10KHz offset - -145 dBc/Hz
SSB Phase Noise at >100KHz offset - -152 dBc/Hz
というところです。
測定グラフには変なピークがあったりして数値は少し悪くなっていますが、測定環境でのノイズ混入かもしれません。

今回使ったTCXOの位相雑音は27MhzということもあってXO-3と比較して
SSB Phase Noise at 10Hz offset - -80 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 100Hz offset - -110 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 1KHz offset - -135 dBc/Hz
SSB Phase Noise at 10KHz offset - -150 dBc/Hz
SSB Phase Noise at >100KHz offset - -150 dBc/Hz
とTCXOとしては健闘しているようです。

でも最近では10Hzオフセットで-145dBc/Hz以上の発振器もあるようですから、位相雑音のスペックを頼りに良い発振器をさがせば、更に音質が向上すると想像しています。
でも、10Hzオフセットの-80dBc/Hzでも「おおっ」って音質になるのに、それが-145dBc/Hzたったら「・・・・・」(絶句)なんじゃないかなぁ・・・・・。

とここで、またも失敗に気づきました。

-100dB欲しいなぁ・・・とか思っている僕は、発振器の位相ノイズフロアレベルが-150dBも取れるのに、その発振器の電源をデジタル回路から取っています。
しかも発振器をむき出しの状態でノイズ出しているPLL ICのすぐ近くに設置・・・・これ音質が・・・なんて言っている場合じゃない。
-100dBとか言う前に発振器基盤の場所の変更やシールド、デジタル電源からの分離をやらないと、いくら位相雑音の特性が素晴らしくても無意味です。

こういうことでアナログ・デジタル・クロックと3電源方式・・・ってことになるんですね。電源については別の方がいいことはわかりますが、その確たる根拠が希薄だったのです。今回のことで「別にする必要性」が理解できました。

|

« YO9HP 10/RTTY | トップページ | IC-7800の周波数校正? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: AD変換基盤PCM1804のクロック安定化(効果と分析):

« YO9HP 10/RTTY | トップページ | IC-7800の周波数校正? »