OCXO vs ルビジウム ガチンコ勝負 その1
ガチンコ勝負にするためには、双方の条件をなるべく同等にしなくてはなりません。勝負の土俵は一般的なワードクロック48KHzとします。
オーディオマニア的には44.1KHzだろってところですが、僕の用途は自分の声をデジタル化して無線機で送信することが目的で、無線機が48KHzなんで・・・・。
まぁ44.1KHzも48KHzも非常に近い周波数なので結果にはそれほど差はでないハズ。
電源は手持ちの安定化電源+12Vを3端子レギュレーターで+5Vにしてロジック回路用とします。ルビジウム発振器のFE-5680Aの定格は+15~18Vなんですが、+12Vでも周波数も動かず、スプリアスなども含めて12Vで問題ないようです。
回路は双方4.8メガ出力で100分周で48KHzと思いましたが、FE-5680Aの内部にはDDSが入っていてDDS出力をさらに分周する・・・ってのはハンデだな・・・と思い、FE-5680Aで直接48KHzを出力、デジタル化とバッファだけ追加することにしました。
OCXOの出力は4.8メガなので、途中で1/100の分周が入るだけ・・・となります。
ということで比較実験用の回路をブレットボードで組んでみました。
サイン波の矩形波変換にラインレシーバーLTC490を使ってみましたが、簡単に綺麗な矩形波信号がでてきます。
でも、4.8メガだと立ち上がりが鈍りますね。74LSシリーズみたい・・・。
真ん中がOCXOの時だけ使う分周用の74HC390。
右が出力バッファの74HC04です。バッファはインバーター3個の並列にしてDCカットはミューズのノンポーラです。
4.8MHzOCXOの出力を実験回路に入力して出力された48KHzのスペクトラム。
あら、いいじゃん。ブレットボードで盛大にノイズがのったりしてません。メーター振り切れ寸前の信号レベルで±1500Hz辺りは5dB程度に落ちています。
次は48KHz出力のルビジウム発振器の出力を実験回路で分周せずに変換-バッファして出力された48KHzのスペクトラム。
OCXOとの比較のため±1500Hz辺りを比較すると・・・・微妙・・・・。中心に近い部分までよ~く比べてみると・・・・わずかにOCXOの方が綺麗に見えます・・・・・が気のせいかな?
因みにルビジウム発振器からの出力信号そのものはもう少し綺麗です。
ルビジウムの綺麗な信号を汚してゴメンナサイ・・・なんですが、サイン波じゃぁマスタークロックになりませんし、OCXOだって変換して分周していますから・・・・・・。
FE-5680Aの位相雑音特性はメーカーによるとこんな感じ(@10MHz時)なので、48KHzみたいなとっても低い周波数だと、特性はかなり良くなっているハズですが、LPF取っ払った改造の影響で悪化しているかも・・・。
DDS内蔵タイプとしてはかなり良い特性なんですが・・・・ロジック回路に3端子レギュレーター使っているので、ノイズフロアレベルはグラフよりも高いハズ。
なので、こんな綺麗じゃくて、もっと悪化しているはずですよね。
まぁ、この問題はOCXOも同じだから条件一緒と言えばそうなんですけど、今回の比較の重要な制約事項。
つまりOCXOもルビジウム発振器も実力を発揮できない環境での比較ってコトです。
というか、普通の電源で比較しても、あんまり意味ないかも。
でも、普通の環境(電源)で使う人が殆どなワケですから、比較には意味があるかなぁ・・・・なんて考えています。
ということで、スペクトラムを見る限りでは差はそれほど認められず、これで音として水晶とルビジウムに差があるのなら、やっぱり音が違う・・・・とオカルト的な話も納得できそうな雰囲気です。
(つづく・・・・)
■追記■
記事中にマスタークロックと記載している部分がありましたが、ワードクロックに修正しました。
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コメント
おはようございます。
当方は音質というより周波数確度の拘りから10MHz外部基準からPLLで各リグの基準を得て注入して楽しんでいます。
アナログ機はいいのですが問題はIF-DSP機です。
IC-7700は別格でA/D,D/Aも基準発振からそのクロックを生成しているのでFBですが、
IC-7400など庶民機は安物の別クロックなので是非とも参考にさせていただきたいと思います。
ところで、サンプリング周波数は48kHzでいいのですが、A/D,D/Aのマスタークロックはその256倍、512倍の
12.288MHz,24.576MHzが必要なのではないでしょうか。
投稿: JR3REX | 2009年12月27日 (日曜日) 10時16分
REXさん
こんにちは。AD/DAの処理には48KHz以外の高いクロックが必要なんですが、手持ちの機材は外部からの48KHzのワードクロックに内部クロックを同期させる機能を持っています。
48KHzでのPLLみたいなモンだと想像しています。
マスタークロックの考え方には色々あると思いますが、今回は同期を取るための基準クロック・・・と考えています。
ワードクロックに同期させると余計なPLLが加わるためか、各機材のジッターは増える傾向で音質的には悪化する理屈なのですが、機材間の同期が完全に取れることでの音質改善効果の方が大きいことが多く、ワードクロックでの同期はスタジオなどで良く行われています。
それとIC-7700では外部基準から全て生成しているとのこと、7800と大きく異なりますね。
7800はデジタル入出力のクロックは独立して生成しているので48KHzではなく、それなりにズレているんです。
光出力でデジタルモードすると、ズレが結構気になります。
投稿: JI1ANI/福井 | 2009年12月27日 (日曜日) 11時21分