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2010年2月27日 (土曜日)

マスタリングプロセッサーは王様

僕が無線用のマイク系統に入れて愛用しているダイナミクスをコントロールするdbx Quantum2のクロック周波数を測ってみました。
Quantum2は一般的なワードクロック出力に加え、スーパークロック(SC)の出力が可能です。スーパークロックとはワードクロックの256倍で、48KHzならば12288KHzになります。
スーパークロックは所謂256fsと考えても良いと思います。
256fsの周波数を1/256すればワードクロックのズレも計算できますので、今回ワードクロックは計測していません。

Quantum2を購入したのは5年ほど前でしょうか・・・・。HFの無線機と似たような価格でしたが、思い切って購入しました。
その機能や使い勝手には大変満足していますが、最近ほかの機材と96Kでデジタル接続した時にPLLロックせずに同期がとれない・・・という現象が発生することがあります。

最初は何が問題なのか分かりませんでしたが、ひょんなことからクロックのズレが原因の可能性が高いことがわかってきました。
そこでQuantum2のスーパークロック出力を周波数カウンターで調べてみました。周波数カウンターはルビジウム精度です。


クロック      512fs           誤差(KHz)          256fs           誤差(KHz)
48K系列   24576.000                            12288.000
Quantum2 24575.343       0.657              12287.656        0.344 
44.1系列   22579.200                            11289.600
Quantum2 22578.886       0.314              11289.444         0.156 

dbx Quantum2は96/88.2/48/44.1と幅広く入出力できるのですが、プロ向けの機材といえども5年も経過しているためか、最大で0.657KHzズレてます。
256fsのズレ幅が512fsの約半分であることから、源発振の発振器がズレているのでしょう。

もう一つ、このズレを計測していく中で面白いことがわかってきました。
このQuantum2はマスタリングプロセッサーで、最終工程で使われます。記録媒体の手前といえば良いのでしょうか。
また、外部で別途マスタークロックジェネレーターを用意している場合に備えてワードクロックやスーパークロックの一部も入力可能になっています。

Quantum2はクロック関係では録音機材の最後に位置するため、録音機材のクロックの王様的に振る舞います。
いろいろな入力と出力に対応できるようSRC(サンプリングレートコンバーター)を内蔵していますので、Quantum2の源発振器で生成したクロックに入力されたクロックを合わせて動作するようになっています。

いろいろと調べていくと、どうやら入力クロックと内部クロックが0.5KHz以上ズレるとPLLが追従しなくなるようで、動作がおかしくなります。
PLLにしては引き込み範囲が狭いように思いますが、これはプロ向け機材として「あまりにズレている場合は拒否する」という安全姿勢なんでしょう。サスガdbx。
でもさ、自分がズレたらどーするよ?

問題はルビジウム化したマイクプリの正確なクロックを、ズレた発振器を基準としたQuantum2が「受け付け拒否」することです
ルビジウムの発振周波数をQuantum2に合わせてズラするとOK
あはは。単純で分かりやすい王様です

機材のクロックを合わせることは、根本的な考え方としては良いことなんですが、お約束の基準値とズレてるのは気持ち悪い。
Quantum2を修理(というか発振器の交換?)すればいいのでしょうけど、どうせまた時間が経つと狂うわけだし、ルビジウムと同じ周波数精度・・・ってのはムリ。
使っている水晶発振子はオーディオクロック用の特注品らしいですが、回路・実装はごく普通の方法でした。
たぶん、発振器としてはルビジウム発振器の方が上でしょう・・・・。

やはり内部発振器はそのままで、外部の高品質なマスタークロックから分配する方法でQuantum2にクロックを注入した方が良さそうです。
するとルビジウムを基準にして他の周波数を作って分配する・・・という形になります。
試しにマイクプリに供給しているサイン波をQuantum2に入力しましたが、やっぱり矩形波じゃないと動作しないようです。

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