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2013年6月 8日 (土曜日)

TS-990 送信音が良い理由

Ts990_drange_2 TS-990は受信も送信も音質がとても良いのです。SSBの場合、フィルター設定で帯域を広げたから・・・ではなくて、100~2800Hzの2700Hz幅に設定しても素晴らしく良い音質です。今のところ不満はありません。

また、最初にTS-990でワッチした時の印象は「音の情報量が多い」でした。この印象は今でも変わりません。他の無線機の受信音の情報量が10とすると、TS-990の受信音は11か12くらいの情報量があるんです。
この情報量が多いという意味は、例えば音声なら他の無線機では感じない細かいニュアンスを感じる・・・かな?
受信音で感じる情報量の多さは送信音でも同じようで「TS-990って、声の細かいニュアンスまでとても良く判りますね」と交信した相手からご評価いただくことが多いです。
僕の経験では、音の細かいニュアンスの表現に優れているアンプは、優れたダイナミックレンジを持っています。

グラフはTS-990でフルパワーでLSBの無変調を送信した時(下側の薄い水色)と、その状態でシングルトーンを出力が200Wになるレベルで入力した時(上側の濃い水色)です。
出力200W設定で無変調送信すると、薄い水色のように6kHz幅で-120dB程度だったノイズフロアが-110dB程度にあがります。

濃い水色のピークは200W出力の信号で-4.4dBです。一方、薄い水色の無変調時の出力は0Wではありませんが、かなり微小出力で約-110dBです。ピーク信号と無変調時のノイズフロアの差がLSB送信時のダイナミックレンジですからTS-990のLSB送信時のダイナミックレンジは110dB-4.4dB=約105dBと読み取れます。

う~ん、105dBってCDよりもダイナミックレンジが広いですよ。
帯域は3kHzだけど、適切な信号を入力すれば、TS-990の送信音質はCD音質を超えると言えばいいのかな?変な信号入れちゃぁTS-990が可哀相です。

TS-990の光入力端子に光入力されたデジタル信号はTS-990のDSPへ入力されます。したがって光入力端子を使えば、マイクアンプや増幅器などの影響を排除して、TS-990の変調器(DSPのこと)~終段までのダイナミックレンジを計測できると考えました。

TS-990の変調入力を光入力のみにして、光入力端子には何も信号を送らない状態で送信状態にします。TS-990は光入力での無変調を送信します。無入力ですからTS-990のDSP以降で発生するノイズしか送信されません。
この状態を示したのがグラフの薄い水色です。実験は3.6メガLSB、フィルターは10~3000Hzの設定でしたが6kHzの盛り上がりは予想外でした。3kHzならフィルターの帯域幅通りなんですが・・・・。

次に無変調送信の状態で、WaveGeneで生成した1500HzのシングルトーンをTS-990の光端子から入力したのが濃い水色のグラフです。シングルトーンの入力レベルはTS-990のALCの赤い部分の真ん中あたり、出力は200Wです。入力レベルを上げても出力は増えない状態です。

ダイナミックレンジが約105dBに制約される理由を考えてみます。
デジタル信号のゼロはゼロです。DSPからたどると、TS-990のDSP処理した信号をアナログ信号に変換するDAコンバーターはAK4387(106dB 192kHz 24-Bit 2ch ΔΣ DAC)です。
このDACチップのS/Nは106dBで、タイナミックレンジの計測結果はほぼ同じ。なるほど、TS-990の送信時のダイナミックレンジは、DSP後のDACの性能で決まっているみたいです。

オーディオと同じですね。また、ダイナミックレンジが105dBあるということは、TS-990は24bit(orそれ以上)で内部処理しているのではないでしょうか?
TS-990の音質はアナログ部分の設計やDSPでのフィルター処理やAGCが巧みなことも理由として考えられますが、そもそも基本的な部分で最低でも24bit処理しているとしたら、音の情報量が多いのも納得できます。

ということで、TS-990の送信音質をフルに引き出すためには、最終的にダイナミックレンジを105dB以上確保した信号を入力してあげる必要がありそうです。
お家にスタジオ作らなきゃ・・・ね。

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コメント

こんにちは、何故6KHZの山が出るのかと回路図を調べてみたら、送信の時もルーフィングを通っています。
多分6KHZのフィルターが選ばれているのでしょう。
そう思って、送信フィルタの設定を10~4KHZにして、オーディオから3.8KHZの信号を入れてみたら、-5DB信号が落ちるので、ルーフィングの切れが始まっているのが分かりました。ちなみに3.5KHZでは2DBしか落ちませんでした。
6KHZと呼ぶにはかなりブロードな気がします。

投稿: JA1BRS 須賀川 | 2013年6月29日 (土曜日) 17時37分

須賀川さん
なるほど。送信でもルーフィングフィルターを通っているんですね。
でも6kHzとはいえ、かなり肩が下がっている感じですね。フラットな帯域は3.6kHz程度かな?

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年6月30日 (日曜日) 01時20分

こんにちは、福井さん、キャリアを中心としてLSBとUSBが通るのでルーフィングフィルターの帯域は3.6*2=7.2KHZ辺りだと思います。
分からないのは、福井さんのとられた特性からはどう見ても、6KHZそのもの、とても7.2KHZには見えませんね。
通常、此のフィルターを通すとなると3KHZ以上の幅のSSBは出さないのですがTS-990では4KHZまで出るように設計されている。
3.5KHZ又は4KHZに帯域を広げたときのみルーフィングフィルターに何らかの細工(例えばもっと広いフィルターに切り替える、或いは、ぱらにONするとか?)しているのかもしれませんね。
まだまだ、調べてみないと・・・
3KZ、3.5KHZ、4KHZ、と切り替えるローパスはオクターブ12DBの減衰を示しますが、4KHZにした時、本当に4KHZがフラットに出るのか調べる術が無い、ここで既に5DB落ちていることも考えられます。

投稿: JA1BRS 須賀川 | 2013年6月30日 (日曜日) 11時07分

御免なさい、福井さん、オクターブ12DBの減衰はハイパスの特性でした。
ローパスはもっと急峻に落ちます。
2500HZにフィルターをセットすると2700HZで6DB、2800hzで10DB程落ちます。

投稿: JA1BRS | 2013年6月30日 (日曜日) 11時45分

須賀川さん
了解です。もしかすると6kHzの盛り上がりは単純にオーディオ帯域のフィルターかも知れませんね。
確かテストをした時は10~3000Hzの帯域でしたのでLSB+USBで約6kHz幅だとすれば合致します。
もしかすると-110dBで盛り上がる6kHz幅のノイズはDSPが発生元で、DAコンバーターではないのかもしれません。もしそうならば非常に上手いデバイスの組み合わせですね。
余裕が無いともいえますが、必要十分というか・・・。

投稿: JI1ANI / 福井 | 2013年6月30日 (日曜日) 13時11分

はい、DSPかも知れませんが、どっちにしろ、限界目一杯の設計と思います。
他社も巻き返しを図るのでしょうが、この機械を越える事は、すぐには出来ないでしょう。
この機械で使っている、デジタル処理の石の性能が一桁上がらないと、当分この機械を越えることは不可能だと思います。
感心するのは、単に電気的性能だけではない、使い勝手を評価するグループの存在を感じます。

投稿: JA1BRS | 2013年6月30日 (日曜日) 23時17分

そうですね。この性能はチップの性能に近いので、これ以上はチップの進歩を待つことになりますね。
使い勝手はとても良いです。ご指摘のようにUIのみを評価するチームが存在を感じます。もちろん設計する方々もアマチュア無線を楽しんでいらっしゃるのでしょうね。

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年7月 2日 (火曜日) 22時52分

初めてコメントします。
シングルトーンの200W以外に2トーンの200W(尖頭出力)のスペクトルも見てみたいものです。
そうしないと、折角のダイナミックレンジの話が嘘っぽく聞こえます。

投稿: 宮崎/JA1QVM | 2013年9月 4日 (水曜日) 19時55分

宮崎さん
こんばんわ。2トーンはカタログに掲載されていますので、そちらをご覧ください。
PSK31で2Tone調べた時もカタログとほぼ同等でした。

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年9月 8日 (日曜日) 01時05分

ご返事を有難うございます。
2トーンうんぬんの話は、直線性を考慮していない此の手の実験(シングルトーン)では実際の運用時の事が解らないと思います。
ですから、最低でも2トーン(音声は2トーン処ではない)で同じ実験をして TS-990の素晴らしさを確認したいものです。

投稿: 宮崎/JA1QVM | 2013年9月11日 (水曜日) 09時31分

宮崎さん
ダイナミックレンジって2トーンや多信号で調べないとダメでしたっけ?

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年9月13日 (金曜日) 00時22分

勿論シングルトーンで充分かと・・・
でも、表題の「音が良い理由」を考えると疑問が有ります。
一般的に「良い音」とは耳に心地よく聴こえるのではなく、歪の少ない音だと思いますが、如何でしょう。
つまりマイク入力に入れた 500/600Hzのオーディオ信号が 200WのSSB出力として取り出したとき、本来出てはいけないオーディオ成分をどの程度含むのか?が本質の問題であり、此れはIMD其の物です。
ですから、此の手の実験をする時は2トーンでしたほうが解り易いと思い、最初のコメントを書きました。
200Wの2トーンを調べれば判ると思いますが -50db前後に沢山の歪が観測されると思います。
ですから、其れ以下のレベルの話をしても全く意味の無い自己満足に終ります。
もし貴方が「良い音」とは耳に心地よく聴こえる事だと言い張るのでしたら、此れ以上はコメントしません。
でも、心地よい音は人により千差万別で比較しようがありませんね!

投稿: 宮崎/JA1QVM | 2013年9月15日 (日曜日) 10時24分

宮崎さん
僕は音は自分の耳で聴くものだと考えています。ですから、もし測定結果でヘロヘロの数字がでても、自分の耳に「心地よく」聞こえる音は「自分にとって」良い音だと思いますので、「良い音」と記事に書いています。その逆も同じです。
ご理解いただき、ありがとうございます。

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年9月15日 (日曜日) 11時22分

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