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2013年7月 7日 (日曜日)

Mini-Whip 1チップ版 中波のオバケとサヨナラ

Ada4817_1miniwhipf電波の微小電圧をハイインピーダンスで受けて50Ωに変換する仕組みのMini-Whipアンテナを高速オペアンプ1個で置き換えました。

単純な回路ですが、感度はpa0rdtのMini-Whipと同等です。オリジナルで不満だった2次歪みや3次歪みなどが劇的に改善されます。
僕はFENの送信所から4キロ程度ですが、この1チップアンテナならお化けは出ません。

・特徴
Mini-Whipで発生する中波送信所近傍での2次歪みが気にならないレベルまで下がります。
中波のオバケはでません。
50MHzやFM放送、エアバンドのワッチにも使えます。
ノイズキャンセル用のノイズアンテナとして使えます。

・オペアンプ

単純な回路なのでオペアンプの性能がそのままアンテナの性能になります。
今回はアナデバのADA4817-1 SSOP8Pin1回路入りを使いました。アナデバのチップはアマゾンで全国どこからでも購入できます。

ADA4817は裏面に放熱パッド(金属)があります。僕はSSOP14Pin→DIP14Pinの変換基板を加工して放熱処理しました。僕のところでは手抜き放熱対策ですが、5~7Vで10mA程度でチップ温度は35度(周囲温度+8度)です。
僕の手抜き放熱処理が効果的・・・なハズはありませんから、放熱についてはあまりシビアに考える必要はなさそうです。

また、ADA4817は独自に機能を割り当てたピン(1&8Pin)がありますので、配線する時は注意が必要です。回路図には記載されていませんがPDピンは+5Vへ、放熱パッドはGNDに接続しています。

・プローブ

アンテナに相当するプローブは通常切手2枚分程度の面積の金属板(片面プリント基板でも可)が良いようです。
短いワイヤーやクリップなど、金属なら使えますが、あまり大きい(長い)と入力レベルが高くなり、混変調の原因になります。

・利得

Mini-Whipは無利得のアンテナです。同軸給電とした場合、オペアンプには容量性の負荷(長い同軸)がかかりますので出力に50Ωを入れて安定化しています。
でも出力に50Ωを入れるとオペアンプの出力が減衰しますので、ロス相当分をあらかじめオペアンプで増幅しています。オペアンプの利得はR3とR4で調整可能です。オペアンプでの増幅周波数特性はC2で調節します。
アンテナを高く上げる場合はボルテージフォロワーとして感度を落とした方が2次歪みや多信号特性で有利です。ボルテージフォロワーでも十分な感度が得られます


・周波数特性(短波帯にチューニング済)

1_f本家は長波~20MHzですが、僕が短波帯メインですので、長波と中波の感度が落ちて、短波帯で増幅率があがるように帰還回路定数を設定しています。

短波帯はMini-Whipと同等に受信でき、Mini-Whipは苦手の50MHzやFM.放送、エアーバンドや144MHzまで良好に受信できることを確認済です。

なお、長中波の感度を上げるにはC1/C2/C3を0.1uFとしてください。

またグラフのようにオペアンプの入力バイアス抵抗R1/R2を変更することでも、周波数特性を変更することができます。


・同軸給電

一般的な同軸給電回路です。470uHはRFCを使ってください。マイクロインダクタは自己共振周波数が低い場合が多く、短波帯の感度が6dB以上低下します。

ADA4817は5V以下になると極端に性能が悪化して全バンド高レベル出力の混変調状態になりますので、チップへは必ず5V以上を供給してください。

同軸給電ではRFCと同軸などの給電回路で電圧降下します。僕はこれに気がつかず、10回くらい屋上と自室を行ったりきたりしました。
チップの電源ピンで5V以上必須ですよ。今はシャックから7Vを給電しています。

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コメント

すいません ちょっと遅くなりましたが
外野で実際に作って無くて申し訳ありません戯言です。
実測の周波数特性とシミュレーションの回路図とちょっと腑に落ちない点が有ったので時間かかりましたが
回路での低域を制限する箇所は入力とNFBと出力のコンデンサと受けの抵抗の値ですが
NFB部の時定数はゲインが6dBなので大きな影響が無いとして重要なのは入力と出力部です
ちょい疑問です
入力の抵抗値に対してF特が変化してますが一番fc(カットオフ周波数が)高いのは出力の1000pと50Ωと負荷の50Ωだと思います
入力の抵抗が少々変わってもF特は変化しないハズ?
出力のコンデンサの値は大きくしてますか? (多分入力で制限すれば歪防げるので出力を低下させる必要は無いですが。)

後は入力の抵抗(インピーダンス)を下げると微小アンテナとしての性能がどの様に変化するか分かりませんが。

新しい記事での部品図と写真では1MΩで電源分割してパスコン入れて1MΩでバイアスに成ってますのでこれで良いので有れば入力低域制限はあまり重要で無くて
アンプICの低歪性能が一番重要だったのですね。

またまた駄文失礼。

投稿: アンドロメダ | 2013年7月16日 (火曜日) 17時37分

アンドロメダさん
記事に出した入力部の周波数特性はチップによって異なるようです。また、抵抗値によるF特というよりも、感度差と表現した方が良いかもしれません。いづれにしても本家と異なりオペアンプの場合は長波帯の感度は良くならないように感じています。
測定はネットアナの静電結合で行っているので、実際にアンテナを外に出すと多少違った結果になるかもしれません。

出力の1000pは0.01uでもあまり変わらないように感じていますが、短波帯の上の方での感度を考慮して1000pにしてあります。
また、チップの性能が高いため、チップの性能を最大限に活かす方向へ切り替えて、ご指摘のように入力のバイアスをちょっと高級な方法(?)へと変更しました。
通常はコンデンサの容量を大きくして電源ハムを除去する目的だと思いますが、そうするとバイアス電圧が安定するのに10秒以上かかって送受信切換する無線の受信用には向いていません。
抵抗はやはり1M辺りが感度の面で有利だったので、コンデンサの容量をできる限り少なくして、安定化の時間を短くしました。カットオフが高くなり電源ノイズ的には不利ですが、RFCのSRF以上の周波数の受信電波が同軸から戻る形でバイアスを揺さぶらないようにするLPFとしての動作が主目的です。効果の程は不明ですが、なんとなく20メガ以上で感度が上がったように感じていますが、そもそも利得を持たせてしまったため効果の程は不明です。

このアンテナにしてから1699kHzの灯台放送が非常に明瞭に受信できるのでビックリしています。

投稿: JI1ANI/福井 | 2013年7月16日 (火曜日) 22時08分

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