USBデバイスルーター経由で音質が変化するか?
先日の「48kHz16bit信号の無線LAN転送実験」では無線機で受信したノイズをUSBデバイスサーバから無線LAN経由でPCに取り込むという一方通行での計測でした。一方通行では送信音か受信音のどちらかだけしか送れませんので、無線では使えません。
また、周波数特性だけでは音に何かしらの影響がでている可能性は否定できません。そこでサウンドカードのレビューなどでベンチマークの標準ソフトRMAA(RightMark Audio Analyzer)を使って調べてみます。先日は光デジタルの48k16bitでRMAAを使ってループバックテストした途端にブルースクリーンだったのです。
その後、2枚の光デジタル対応サウンドカードを使って、送り専用サウンドカードと受け専用サウンドカードに分けたところ、音の伝送自体は双方向でできました。
どうやらUSBデバイスサーバーのドライバーと光デジタルの全二重動作は相性が良くないようです。手持ちの2枚の光出力サウンドカードでループバックしようとすると、全く同じタイミングでブルースクリーンがでます。
光デジタルを諦めて手持ちのSUBサウンド、PL-US35APを使って検証を続けることにしました。PL-US35APは普通のアナログ入出力のUSBサウンドアダプタで安価ですけど、ノイズが少ないのです。
USBデバイスサーバーに接続し、RMAAでループバックテストしてみると、あっけなく成功やはり光デジタルのループバックが駄目で、ループバック動作自体は問題ないみたい。
ということで準備が整いましたので、アナログ入力のPL-US35APを使ってUSBデバイスサーバー経由による音質変化をRMAAで検証してみました。
RMAAのテスト結果のサマリーです。Test欄の左側、DIRECTはUSBサウンドアダプタをPCに接続して、USBサウンドのMicとヘッドホン端子をパッチケーブルでループバックした状態。ループバック以外は一般的なPC接続です。
右側のUSB Device - は、DIRECTと同様にループバック接続したUSBサウンドアダプタをUSBデバイスルーターで無線LAN経由でPCに接続した状態です。
Test | DIRECT 48k16bit | USB Device - 48k16bit |
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB: | +1.77, -2.95 | +1.76, -2.93 |
Noise level, dB (A): | -75.6 | -75.5 |
Dynamic range, dB (A): | 75.5 | 75.5 |
THD, %: | 39.616 | 39.617 |
IMD + Noise, %: | 39.491 | 39.486 |
Stereo crosstalk, dB: | -35.6 | -34.7 |
クロストーク以外は測定誤差と言って良いと思います。無線の場合はモノラルで使うことが多いので、サウンドカードから出力される音のデータをUSBデバイスサーバー経由で無線LANに乗せても音に影響はないと言って良いのではないでしょうか?
参考までにIMDのグラフを載せておきます。自分の耳でも確認しましたが、聴いた限りではヘッドホンアンプの違い(じゃないかな?)による差は感じますが、それ以上の変化は感じませんでした。
つまり、オーディオ的な評価でも「問題ない」と思います。まぁ、わざわざ無線LANで音を飛ばさないとマズイ理由があれば・・・ですが。
今回の検証で、TS-990のUSB端子をUSBデバイスサーバーに繋げれば、帯域は必要ですがLAN経由でTS-990の受信音と送信音がHiFiでリモート地点まで飛ばせることがわかりました。
TS-990のUSB端子は送受信音とTS-990コントロール用のシリアルが一緒になっていますので、USBデバイスサーバーを使えば、TS-990のリモート制御と音声の両方をリモート局まで接続できることになりますが、USBデバイスサーバーが認識できるか心配です。
| 固定リンク
コメント
全く目的は違うのですが、ちょうどUSBデバイスサーバーで遊んでいて、情報収集していたところ、こちらのブログに行き当たりました。アイソクロナス転送…、勉強になりました。ここを読んで、「CW符号間がたまに間伸びする現象はデバイスサーバーの機器選定に問題があったか!」と思ったのですが、K1EL WinkeyではASCII符号の転送をしているだけでなので、そもそも関係ありませんでした。干渉の少ない5GHz帯の無線LANで帯域を40MHz取ったところ、何とか実用にはなりそうです。そもそもの発端、回り込み対策になるかどうかは怪しいところではあります。今後とも情報を参考にさせていただきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
投稿: JE1JKL | 2013年12月24日 (火曜日) 22時05分
JKLさん
こんばんわ。少しでもお役たてば本望です。
CWは単純なモードですが、実は技術的には一番難しいモードだと思います。単純なON OFFですが通信での同期(タイミング)
で考えると、こんなに難しいモードはありません。
通信以外でも送信機にしても、ゼロからフルパワーに瞬間的に移行するのはと~~~っても難しいと思います。
プロの世界ではある意味搬送波を出しっぱなしにして、その問題について回避しているのではないかと僕は考えています。力業でしょうか・・・。
そのような意味では40MHzとって解決するのも良い解決策だとおもいますよ。使えるものはなんでも使うべきだと思います。
たぶん、ご理解いただいていると思うのですが、僕の場合も数メガの帯域とれるのに、10年前みたいにみみっちくコーデックかけて帯域絞ってパケット通るぞとかやってるのが自分でアホらしくなったからです。
使える帯域とれるなら、通せばいいゃん・・ってのが今回の趣旨なんです。
投稿: JI1ANI/福井 | 2013年12月26日 (木曜日) 23時08分
JI1ANI 福井さん、そうですね。kWなんて大パワーをバチバチ入れたり切ったりするって凄い(野蛮な?)ことですね。また、軽い気持ちで帯域幅40MHzなんて書きましたが、デジタルモードで使用する帯域幅を考えると40MHzなんてとんでもない広さだと言うことに今更ながら気が付きました。たかだか30WPM=0.5B/sec=0.004kbps程度の伝送に40MHzの帯域を使うとは何と贅沢なことでしょう。Hi。(計算に間違いがあればすみません)いずれにせよ、A1Aの許容占有帯域幅は500Hzですから、やっぱりとんでもないです。せっかく干渉の少ない5GHz帯なのに、帯域幅を多くとると干渉に弱くなる理屈ですから、20MHzで問題なければ、その方が良いのかも知れません。でも、私の9M6のシャックの近辺で5GH帯の無線LANを使用している人がいるとは思えないので、目一杯の帯域幅を使う贅沢を享受したいと思います。
福井さんとQSOしたのはしばらく前になりますが、また機会があれば、ぜひよろしくお願いします。
73 de JE1JKL/9M6NA 中村
投稿: JE1JKL | 2013年12月26日 (木曜日) 23時45分