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2014年2月28日 (金曜日)

10MHz ローパスフィルターの製作 その3

改良した10MHz LPFは40メガ付近で90dBと素晴らしい減衰です。ですが30メガを過ぎた辺りから、ノッチが入っているような感じで減衰カーブが不自然。10mhz_lpf_2_2APB-3の測定限界を超えた辺りなら理解できますけど減衰量が多すぎます。

LTspiceのシミュレーションでは40メガで73dBの減衰ですが、現物は設計よりも20dB近く減衰していることになります。
やはり、何かが起きてそう。ということは高い周波数でも「何かが起きて」てもおかしくありません。

DDS発振器の110メガの信号でIC-7000のSメーターをS9+60dBまで振らせ、LPFを入れるとS9まで落ちます。60dB程度減衰していますが、それでは35メガより減衰量が少なく何かが起きてるようです。

そこで改良版を作りました。疑いのある部品間の結合を減らすため間隔を空け、部品の下の余分なランドも削りました。
10mhz_lpf_3
基板はストリップラインで50Ωを意識して、部品を載せない状態(スルー)でケースに入れてSWRを測ると60メガまでSWR1.0でした(10cm程度ですから当然?)。
でも部品を載せて計測するとやはり30メガ以上で減衰しません。

やはり主原因は結合ではなく、グラウンドループのようです。
同軸のシールド側は、ダイキャストケースと基板のグラウンドの両方を通りますから、BNC(右側)~基板のグラウンド~ケース~BNC(右側)と、大きなループができてしまっています。

このループがLPFの高域の特性を悪くしているのは前回の改良で明白ですが、まぁ、やってみないと身に沁みない性分ですからご容赦を。つまり迷結合の影響はループに較べて小さいようです。

10mhz_lpf_2_3 ここで前回NPLさんからコメントいただいた「金属タワシ」の出番です。

ケースと基板のグラウンドでループができているなら、基板のグラウンドとケースを電気的に一体化すれば、ループが解消しちゃうハズ。

生憎、ウチの金属タワシは油で汚れているので、アルミホイルで代用しました。
金属タワシよりも密度は低いですが、なるべく基板のグラウンドとケースの両方に多数のポイントで接触するようにクシャクシャにして詰めました。

結果は・・・・素晴らしい

とても素直な減衰曲線で40メガで65dB近く減衰してLTspiceでのシミュレーションした減衰曲線と酷似しています。
10mhz_lpf_4
高域の減衰量の悪化はケースと基板のグラウンドで形成されたループが原因だとすると、ダイキャストケースの上に基板をベタ置きすれば同じ結果になるはず。

基板のグラウンドとケースを電気的に接触させるため、ケース内に銅テープを貼って、基板のグラウンドの銅テープと重ね張りすることにしました(銅テープは糊が導通するタイプ)。
10mhz_lpf_2_4
ご覧のようにケース自体をグラウンドとして使います。これならグラウンドのループは存在しません。
10mhz_lpf_5
40メガで68dB減衰していますのでシミュレーションより5dB悪くなっています。シミュレーションは理想値なので、それより悪くなって当然で、逆に安心しました。
でも苦労したわりにはアルミホイルの詰め物バージョンと差がありません

因みにIC-7000で110メガの信号の減衰を調べましたが、S9+60dBの信号がS2まで落ちました。前回はS9でしたのでS7ほど高域の減衰が良くなったことになります。
NPLさん、アンドロメダさん、アドバイスいただきありがとうございました。

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コメント

着々と進んでおられますね。非常に刺激を受けます。

私は、最近アンテナ以外で半田ごてを握ることがなくて・・。APB-1キットの製作を途中で投げたのが痛い。APB-?があるのと無いとでは、天地の違いですよね。

> DDS発振器の110メガの信号でIC-7000のSメーターをS9+60dBまで振らせて、LPFを入れるとS9まで落ちます。
Signal Generatorとして、IC-7410(+固定ATT)を使っているのですが、オフバンド送信ができないのが、何かと不便です。手持ちのSoft66LC4のAD9834からFETバッファアンプして信号を取り出せば良いとは思って、LTspiceであれこれシミュレーションはしてみたのですが、手がついていません。

関係ないですが、
http://www.mcl-yokohama.co.jp/webdata/DAT-15R5-SP.pdf
はお使いですか?
ミニサーキット横浜で特価品セール(今見ると、限定数6で@336円)しているので、何かに使えるかと思い随分以前に数個買ったような記憶はあるのですが。

Mike JH1OOD

投稿: Mike | 2014年3月 1日 (土曜日) 07時52分

Mikeさん
やはりフィルターは難しいですが、測定器があると挑戦し甲斐(?)が出てくるように思います。
ご紹介いただいたデジタルアッテネータは知っていますが、使っていません。QRPにも使える手動式のアッテネータを購入しちゃったのが理由です。

DDS発振器と広帯域受信機があると重宝しますね。今回の用途なら200メガあたりまでの広帯域ノイズジェネレーターの方が便利に使えそうです。

投稿: JI1ANI/福井 | 2014年3月 1日 (土曜日) 10時43分

好結果で、良かったですね。
事を制御できて、ご満足の事と思います。

また、今回の対象は、とても勉強になりました。
ケース内に、発振回路があるものなどは、複雑な事になりますが。
ありがとうございました。  de ja3npl

投稿: ja3npl | 2014年3月 2日 (日曜日) 14時16分

NPLさん
これでやっとOne turn現象が判るようなレベルになったのかな?と思っています。
いろいろとありがとうございました。

投稿: JI1ANI/福井 | 2014年3月 3日 (月曜日) 12時24分

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