屋上の手すりとラジアル ~解説編~
屋上の手すりとラジアルで、ラジアルの設置方法でSWRが変化したことを記事にしましたが、類似の環境でアンテナを設置している方は多いと思います。
そんな方の参考になればと思い、詳しく説明します。
僕のアパートは鉄筋コンクリート3階建て、屋上はフラットでコンクリート打ちっぱなし、周囲にアルミ製の手すりが設置してあります。テスターで鉄筋とアルミ製手すりの導通を測ったところ、電気的には接続されていません。
このような構造の場合、バーチカルアンテナのグラウンドを取る方法は以下の3種類です。
1.大きな面積の導体を使って、建物の鉄筋と容量結合させる
2.アルミ製の手すりをラジアルとして利用する
3.ラジアルを張る
僕の環境に当てはめると以下の通り。
1は共用の屋上にトタン板を置くわけにはいきませんので×。置けたとしても風で飛んでいかないような固定方法に工夫が必要です。
2のアルミ製の手すりは、電気的には手すり全体が導通が認められるものの、アルミの手すりをステンレスビスで連結しているため、接続部分の電食が進んでいます。電気的にはあまり良い結果は期待できません。
とはいうものの、屋上周囲をぐるりと囲っている手すりは魅力的です。そこで、アルミの手すりを使うものの、補助的に20/10/5/3.6mの4本のラジアルも張ってあります。
この状態が上図です。
図はラジアルの張り方の差異がわかるように、マッチング部などは省略しました。上図の状態で7メガではSWR1.6程度でした。
今回は、上図のように展開していたラジアルが、アルミの手すりと数センチ~20センチ程度離れていたり、平行ではなく交差していた部分を改め、手すりとラジアルを密着、もしくは、平行にして静電結合を強めました。
下図ではラジアルが手すりに沿わせて展開し、屋上面(恐らく鉄筋が打設されている)まで引き下ろしたり、3.6mのラジアルが手すりに巻き付けて手すりとの静電結合を大きくしていることがわかると思います。なお、下図中のブルーの輪は手すりとラジアルを固定している結束バンドを示します。
このようにラジアルを手すりと屋上(の鉄筋)になるべく接するように配置し直して、マッチングを取り直した結果、7メガではSWRの最低点が1.2になりました。
以前のSWR1.6の時と比較してみるとSWR2以下の帯域が250kHz→450kHzまで拡大していることが読み取れます。
全長2.5m程度の短縮バーチカルですが、卵形のキャパシティハットが効いているのか、フルサイズみたいな帯域幅が得られました。
給電点はLマッチでインピーダンスを50Ωに整合していますが、途中で降り出したので調整は追い込めていません。
バーチカルアンテナは、ラジアルやグラウンド処理次第で性能が変わりますね。
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コメント
ハムフェア、お疲れ様でした。
ふむふむ、こういう感じなのですね。当方の手すりは、大部分が鉄筋コンクリートで、その上にアルミニウムの角柱が(お飾りとして?)乗せられているだけなので、ラジアル効果としては、オールアルミに比べると随分劣るんでしょうね。けどまあ、せっかく何がしかの金属がそこにあるので、利用すべきですね。
ロングワイヤ+ラジアル線をベランダの床上に適当に展開は、どうもノイズレベルがダイポール系に比べて多いようで諦めかけていたのですが、グラスファイバー釣竿の有効活用も含めて、接地系のアンテナをどうするかが今後の課題です。
投稿: Mike | 2014年8月25日 (月曜日) 22時54分
Mikeさん
こちらでも水平系と垂直系はノイズレベルが全然違って、水平系は静かです。垂直系と比べるとアッテネーター入れたみたいな感じですよ。
可能なら水平系(短縮であっても・・)が良いと思いますが、やはりモノバンドだとチャンスを逃すことが多いと思います。
メインバンドは水平で、オールバンドの垂直系とか、MLAと垂直系の組み合わせとか、そんな感じでしょうかねぇ。
送信はロングワイヤーにATU、受信は水平短縮形などのノイズの少ない受信専用アンテナも現実的ですよ。
Sメーターは触れないけど聞こえます。垂直系でノイズに埋もれて聞こえないとQSOできませんからね。
投稿: JI1ANI / 福井 | 2014年8月26日 (火曜日) 00時59分
手すりにラジアルを張った場合送信による人体への影響はいかがですか?
投稿: 天野 | 2017年10月30日 (月曜日) 09時50分
初めまして。私はアマチュア無線はやっておらず、電波は出しませんが、航空無線の受信にアマチュア無線の皆様のBlogを参考にさせていただいております。
さて、ベランダ受信にアマチュア無線用のマグネット基台付きの144/430ホイップアンテナが航空無線の受信でも有効と聞いて購入してみました。私のベランダには天吊りのエアコン室外機があり、そこに取り付けてみました。
結論から言いますと、車に取り付けたときは、受信機付属のアンテナと比べて受信状況が改善しましたが、ベランダではだめでした。
1.エアコン前面の大きな平面に貼り付け
2.エアコン底面に貼り付け
3.エアコン取付枠に貼り付け
4.手持ち
5.床置き
印象としては 車>>>>>1=2=3=4=受信機付属のアンテナ>>床置き でした。
1の場合、エレメントが水平になり、垂直偏波の信号には不利なのでしょう。
2の場合、面積が小さいからという気がしますが、エアコンの外装はたぶん導通しているでしょうからよくわかりません。もしかして、グラウンドがエレメントの上にあると具合が悪いのでしょうか? 参考にならないかと思いGPアンテナを上下逆さに付けるとどうなるかという実験がないかネットを探し回ったのですが、発見できませんでした。
3の場合、エアコン取付枠は、重量に耐えられるように上階の鉄骨につながっていると思うのですが、どうなんでしょうか。
5はベランダの外側の胸までの高さのコンクリート壁が遮蔽してしまうのだと思います。
逆に意外だったのが、車の良さです。
つまり、グラウンドが取れた状態であれば地上2m以下でも、グラウンドが取れていない地上5階より良いということです。
グラウンドの重要性を実感できました。
(しかし、車に取り付けた場合、検問とか職質されたときに、電波に無関心・無知な警官に、受信のみのアンテナであり免許がいらないことを、説明するのは大変なので、使いづらく、無駄な買い物になってしまいました)
投稿: RS | 2021年6月 6日 (日曜日) 16時51分