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2014年10月 4日 (土曜日)

ダミーロードの製作(空冷)

Photo 単純な無誘導抵抗ではなく、周波数特性が明記されているチップ型終端抵抗を使ってダミーロードを作ってみました。

チップ型終端抵抗は高価だと思っていましたが、150W ~1GHz VSWR1.3程度のものたと1k程度で入手できるんですね。

放熱器はアルファのU81C-60で、一昔前のCPUクーラーです。ファン無しで50W程度、本来はファンを当てて強制空冷するタイプです。

このアルファの放熱器はアルミ製ですが、CPU接触面に3mm厚程度の銅板が仕込まれていて、銅板により熱の拡散が速く行われるようになっているマニア受けする放熱器です。

ダミーロードとしても、小さいチップ型終端抵抗の熱を速く放熱器全体に拡散してくれるはずです。
Photo_2ダミーロードに使うチップ型終端抵抗はDICONEX 17-0340にしました。50Ω 250W DC~3GHz VSWR 1.25という規格で、届いたチップ単体をAA-600で調べてみると、確かにAA-600の限界の600MHzまでVSWR1.1程度のようです。

CPUクーラーは同じようなサイズのダイキャストケースに取り付けることにしました。このアルミダイキャストケースも高価だと思っている方が多いですが1k程度で入手できます。
しっかりしているし、加工も容易なので、アルミケースよりもお買い得だと思いますよ。

ダイキャストケースにチップ型終端抵抗を取り付けて、ダイキャストケース経由で放熱器とすると、熱の伝導率が悪くなりそうです。そこで、ダイキャストケースに穴を開け、放熱器にチップ型終端抵抗をダイレクトに取り付けることにしました。

ダイキャストケースに大穴を開けるのは大変ですから、30Φのホールソーで丸穴を空け、放熱器の裏側を出して、放熱器の裏側の銅板に直接チップ型終端抵抗を取り付けています。

チップ型終端抵抗と、コネクターはテフロン同軸でコネクタから最短で接続しています。このような配線でも150MHz程度なら問題ないようです。

Photo_3 初めてチップ型終端抵抗を使ったので、まじめにデータを取ってみました。

放熱器は図体はデカイのですが、フィンが密集していて自然空冷では50W程度と想像されるため、連続50Wを入力して、チップの表面(セラミック部分)とチップの温度が高くなっている時の放熱器(中心あたり)の温度を計測してみました。

最初の30秒で室温30度から急激に温度が上昇しますが、その後が一定の割合で温度が上昇していくようです。自然空冷とはいえ、放熱器もそれなりに頑張っているようです。

今回使っているDICONEX 17-0340はチップ温度110度で定格の250Wに耐えられますが、手元の温度計は99度までしか計測できません。
10分経過しても温度は上昇しており、温度平衡点があるのかは不明でしたが、連続10分でまだ余裕があることが判ったので実験は中止しました。もし、強制空冷にするなら60度辺りでサーモスタットを動作させるような感じでしょうか?

50W連続10分程度では全く問題ないことから、100W連続なら数分程度か100WのSSBやCWなら連続で使えそうです。

試しに200W連続でも試しましたが、90秒でチップ温度が99度を超えましたので、明らかに放熱器の容量不足ですが、200W連続1分以内なら使えることが判りました。

250w_150mhz SWR特性はHF帯では1.02程度、50MHzで1.05、150MHzで1.12、430MHzでは1.8程度となりました。
200MHzあたりからSWRが急に悪化していますが、恐らく僕の配線と工作が稚拙なためです。

チップ型終端抵抗を使ったダミーロードの感想を纏めてみました。

・簡単に周波数特性の良いダミーロードが安価に手早く作れる。
・周波数補正板は不要だけど、放熱器が必要。
・定格の1/3~1/5程度なら目分量とナンチャッテ工作でも使えそう
・定格の連続で使うには、それ相応の技術(熱計算と金属加工)が必要

これからダミーロードを作るならチップ型終端抵抗を使ってみてはいかがでしょう?

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コメント

ANI様 素晴らしい特性ですね。ところでネットアナは何をお使いですか?VNA-3を狙っているのですが、いつの間にか円が安くなって買いそびれました。

投稿: JA2HVW水島 | 2014年10月 4日 (土曜日) 21時29分

水島さん
こんばんわ。グラフはネットアナではなくAA-600です。アンテナアナライザーですが、SWRなら機能的にはネットアナと同じですね。

Mコネ使っていますが、もう少し高い周波数でもSWRが下がるように工夫してみようと思います。素子単体でのSWRはベタ落ちなので「お前の工作が下手なんだヨ」と素子に怒られている気分です・・・

投稿: JI1ANI/福井 | 2014年10月 4日 (土曜日) 22時13分

同軸ケーブルのアース側の処理に問題がありそうです。
2分割して卵ラグに接続していますが、同軸外皮を上から
押さえつけるようにU字型の金具で止めるとGHzまで
SWRは下がると思われます。
入力もやはりN型コネクターのケーブルを直接引き出す
スタイルにコネクターごと変更されては如何でしょう?
余計な事かもしれませんが....

投稿: JA8EHJ | 2014年10月 7日 (火曜日) 08時43分

EHJさん
こんばんわ。貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。
なるほどU字型の金具で同軸の網線を抑えつつ、ケースと導通も取るわけですね。その場合現在の2分割の圧着端子接続は不要でしょうか?それとも現状にプラスして網線のU字型金具での押さえ込みでしょうか?

投稿: JI1ANI/福井 | 2014年10月 7日 (火曜日) 21時51分

言葉ではうまく説明できないの、画像を添付してメールで
送らせて頂きます。

投稿: JA8EHJ | 2014年10月 7日 (火曜日) 22時34分

福井さん、ご無沙汰しています。
南鳥島から出ていた石原です。現在はJJY九州局で仕事をしています。(間もなくリタイヤ)
ところで、ダミーに使われたDICONEX 17-0340は何処から入手されましたでしょうか?
ワインシェルの150W 40dB ATTの入力側3dB ATTを焼いてしまったジャンクをダミーロードに改造しようと思っています。
ヒートシンクはフライス盤で加工できますので形状等は問題ありません。
コネクタから抵抗まではセミリジットケーブルで接続します。

投稿: JD1BMM/JA6GXK石原 | 2016年3月 7日 (月曜日) 04時17分

石原さん
ご無沙汰しています。
お尋ねのDICONEX 17-0340はe-bayで見つけて購入しました。フライス盤があれば加工は
容易ですね。ダミーロードは金属加工が肝だとわかりました。

投稿: JI1ANI/福井 | 2016年3月 7日 (月曜日) 12時05分

福井さん、情報有難う御座いました。探してみます。
金属加工は、何時も友人のJA6XEDに頼んでいます。
彼は430M~5.7GのEMEをやっており、旋盤もフライス盤も持っています。
40年前からのEME仲間です。

投稿: JD1BMM/JA6GXK石原 | 2016年3月 7日 (月曜日) 14時37分

福井さんへ、ご無沙汰しております。ダミーロードの自作良く出来ていますね。
200MHzからのVSWR特性が良くないそうですが、写真を拝見すると抵抗のアース側に両端に端子を付けて
同軸ケーブルを取り付けていますが、これもVSWの悪化する原因になります。インピーダンスが変わります。
またNコネクタのねじが出ていますが、これも極力短くするとVSWRの改善になるでしょう。
出来るなら、コネクタと抵抗の距離を最短にし、端子は止めて基板に直接取り付ける方向にされれば改善されます。
本来、この手の抵抗はそういう使い方をすると思います。144MHzまででしたら、このままでも問題ないでしょう。
ただし、使用している内に端子が動いてVSWRが変化したり最悪はショートする可能性があるのでご注意下さい。

投稿: JO1PSX | 2016年3月12日 (土曜日) 14時38分

PSXさん
こんばんわ。コメント遅くなってごめんなさい。
色々なノウハウの伝授ありがとうございます。コネクタを固定しているビスまで影響するとは思いませんでした。
僕はわりと長めのビスを使うことが多いので、要注意ですね。
ダミーロードを製作してみて、電子工作ではなく、機械工作であることがよ~~く判りました。
フライス盤欲しいです・・・(笑)

投稿: JI1ANI/福井 | 2016年3月16日 (水曜日) 00時21分

JI1ANI 様

初めまして、JG1OZHです。

DUMMY-LODの製作を見て感心していますが、自作でDUMMY-LOADを
製作を始め疑問が出て来て、アドバイスを頂けたら幸いです。

1.入手DUMY-抵抗
ダミーロード 終端抵抗 250W 0-2GHz 250NB 50Ωです。
ANAREN社RFP-250-50TCと同等品と思われますが、確認できていません。
 
使用周波数:0~2GHz(推定)
耐電力:250W
抵抗値:50Ω±5%
使用温度範囲:-55+~150℃
取付フランジ寸法:24.6mm×9.4mm(取付穴 φ3.3  P=18mm) 
重量: 約6g

2.放熱器
Celeren用のCPU-COOLERにビスで取り付けていて、両面基盤にHOT側、GND側
を引き出しています。冷却FANやケースは未だ途中ですが疑問が出て来ました。

3.疑問
このダミーロード 終端抵抗はHOT側に端子が有り、GNDは金属のフランジ全体
になっています。

疑問1.金属のフランジ部は放熱器に直付けで良いのでしょうか?
    直付けで良いとして、シリコングリスは必要でしょうか?
    GND側はフランジ部のビス穴を利用して配線して有ります。

疑問2.直付けダメなら、放熱器と絶縁する必要が有るでしょうか? 
    初めての事で、悩んでいます。御覧頂いた方からのアドバイスも頂けると幸いです。
疑問3.浮遊容量、インダクタンスの打ち消し(SWR補正)
    微小容量などで実験的に補正するなど対策が必要でしょうか?

扱う周波数はせいぜい、433MHz帯迄です。

宜しくお願い致します。


投稿: 坂本 譲二 | 2017年11月 2日 (木曜日) 20時27分

坂本さん

終端抵抗の仕様書を見ていませんが、チップ型の一般論として、配線はその通りです。但し、同軸の外皮をどのように扱うのかが浮遊容量などに大きく影響します。
自作した感想ですが、144メガは誤魔化せるけど、430メガは誤魔化せませんでした。430は金属加工等の差がそのままSWRになってでてきます。

とはいうものの、製作は大変面白かったので、ぜひ、頑張って良いものに仕上げてください。
コネクタはN型の貫通型を強く強くお勧めします。

投稿: JI1ANI/福井 | 2017年11月 2日 (木曜日) 20時36分

JI1ANI 様

貴重な回答ありがとうございます。JG1OZHです。
ヤフオクで入手した中古250W-50Ωのは1個めの端子がポロっと折れて、2個目で予備実験を
して見ました。144MHz帯では全く問題無く、実用になりました。

430MHz帯や50Wの電力では、強制空冷FANや、SWRの劣化対策が必要と思いますが、
JI1ANI様の作られたケース、放熱など参考にして完成させたいと思います。

参考迄に
・50Ωのフランジ部は放熱器にシリコングリス付きです。
・フランジの穴を利用して、2個の卵型ラグで基盤のグランドに半田付けしている。
・ホット側もこの基盤のホット側に半田付けしています。
・5D2Vの同軸ケーブルを直接半田付けしていて、Mコネクタ使用です。
・放熱器はSW電源に使用のものを流用しています。
・FANは12V用を温度センサーで回転の強弱を考えています。

ブログのURLを貼りましたので、更にアドバイスが有れば、御覧の皆様も含めて
アドバイス頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

投稿: JG1OZH | 2017年11月10日 (金曜日) 12時18分

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